帰省した我が家は既に春
急ブレ-キを踏んだ 予想だにしなかった梅と椿の花が
満開で私たち主を迎えている
車のライトに浮かび上がる庭の光景は既に春だ
暫くの間 目前の春を見つめて帰省の喜びと安堵を
かみしめていた 思えばひと月も家を空けていたのだ
次の日 曇り空の下で庭を巡った
久しぶりの我が家の庭は湿った土の匂いが漂う
春一番に咲く小花も今盛りとばかりに賑わっている
東京の次男の家には春は未だその息吹もなかった
私は暫くの間 そこに佇んで過ぎたひと月を回想しながら
同時に これから再度始める田舎暮らしと「なんでも面白く
変えてみよう」のイメ-ジのあれこれを推測してみた
そして胸の内に静かに戦く 心の昂ぶりを感じていた
既に80代を目前にした自分に微かに若気の広がりを見て
嬉しく想った