秋の夕暮れは早かった

秋の晴天が続き日々快適な快さ

晴れた日にモズがキキッと鳴く声がどこまでも浸透しそうだ
庭に佇み もう一度その声に聴覚を集中させる
再びモズは鳴かない
草虫の声が常に響いている

海の流木岸辺に流れ着いた浮きの玉 生け花の残材で遊んだのは
一番末の孫が2歳のころ この子今は小学4年生
梯を枝に吊るしのにいち早く気づき足をかけようとしている


「あぶない、、、それはカエルのはしごだよ、、、」
慌てて制すると不満そうな顔
その後この子のためのオブジェを作ろうと
思ったがそのままになった


4年生になった今 彼は振り向きだにしない
その代わりにミニ工作を見せると自分も作りたいという

大きな時代の格差だ
ナイフを使えない 鉛筆を削る必要のない子供たち
工作は中止


私の小学時代は折りたたみの小刀を
男の子はみな携帯していた
鉛筆は勿論 それ一つで何でも作った


竹トンボ ゴム銃 小鳥取の罠をかけた
護身用でも戦闘用でも勿論ない
中にはその小刀で名人芸の工作する子もいた
想えば不自由時代でもその道具一つで
満足で楽しかった


「肥後守」と銘打たれた小刀は学校でも携帯は公認であった
その頃は戦後で皆腹が減っていた
何か食べ物を探しに山や海にでかけた
そして 山では木の実 海では魚介等をとった
皆友達同士は仲良しで 秋の夕暮れの早いのが恨めしかった
まだまだ遊びたかった





×

非ログインユーザーとして返信する